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1月17日(木)東尾修の“気になる男たち”

◆連載4:松坂と寺原(下)〜勝利優先「客寄せパンダ」はダメ

超大物ルーキーを預かると、悩まされるのはマスコミの過熱報道だけじゃない。球団営業サイドとの兼ね合いだ。3年前の松坂はキャンプからオープン戦と順調にきて、先発ローテーション入りが決定。さて、いつデビューさせるか。

営業サイドからは開幕のダイエー2連戦(西武ドーム)で投げさせてほしいという声が聞こえてきた。予告先発のパ・リーグ。松坂のデビュー戦となれば超満員は間違いない。でもちょっと待ってくれ。すべり出しは大事。こちらは勝たせなきゃいけない。重圧のかかる開幕カードはリスクが大きすぎる。

営業サイドの要請は断固拒否した。実は、入団交渉で松坂サイドに「客寄せパンダには絶対にしない」と約束していたんだ。次のカードはビジターの日本ハム3連戦。東京ドームのマウンドは傾斜が急で松坂に合っている。相手投手との力関係も考えた上で、このカード2戦目、開幕からチーム4試合目の起用を決めた。

そのデビュー戦、松坂は片岡を155キロの速球で空振り三振させるなど5回まで無安打。8回を5安打2失点に抑え、最高の形で白星デビューを飾った。その後も、地上波のテレビ中継がある試合での起用を求められたりしたけど、あくまでも勝利優先で登板日を決めた。その結果が、いきなり最多勝の16勝につながったと今でも思っている。

寺原の起用に関しても、営業サイドから現場にいろんな要請がくると思う。当時の西武と比べてダイエーは先発投手陣の層が薄い。そこそこ投げられれば、先発のチャンスも早くくるかもしれない。でも、しっかり体ができていないうちに158キロだ、160キロだと騒がれて腕だけで投げてしまうのが恐い。リーグの、ひいては球界の宝。あくまでも状態を見て、営業優先でつぶしたりすることのないようお願いしたい。

さて、話を松坂に戻す。2年目14勝、3年目15勝で3年連続最多勝を挙げたけど、去年は15敗で貯金0。これじゃ物足りない。悪く言えば慣れ。純真無垢で打者に立ち向かっていた1年目。当時プンプンしていたフェロモンがでなくなってきたような気がする。

フォームはまだ完璧じゃないけど、幹となる部分はほとんど出来ている。あとは枝葉。まず、力んで気持ちからフォームを乱す欠点を直してほしい。気持ちのコントロールを身につけて、優勝のかかった大一番でフェロモンを発散。チームを日本シリーズに導いて球団の営業を喜ばせる投手になってもらいたい。

(スポーツニッポン02年1月11日より)

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