| 1月16日(水)東尾修の“気になる男たち” |
◆連載3:松坂と寺原(上)〜「夢の対決」へ焦らず的確に
去年のイチローに続いて今年は石井一がメジャーに挑戦する。野茂が行くまで日本から大リーグへの道はなかったのに、今やすっかり“けもの道”ができてしまった。制度がある以上仕方ないことだけど、スター選手の流出は寂しいよね。
パ・リーグは特に深刻。メジャーだけでなくFAでセ・リーグで移籍という選択肢がある。今年も日本ハムの片岡が阪神へ。オリックスの田口も阪神に入りそうなムードになっている。近鉄の中村は今年のFA権取得をにらんで1年契約。今年の秋もまた“パ・リーグの憂鬱”が続くことになりそうだ。
でも、去る者を追ってもしようがない。パ・リーグとしては新しいスターを作っていくしかない。というわけで、大事に育ててもらいたいのが日南学園からダイエーに入った寺原だ。指がしっかりかかったときは低めで150キロ出る。これは松坂にもない素質。松坂との150キロ対決が実現すれば新しい“売り”になるのは間違いない。
ただし、あせりは禁物。背伸びをしたら、せっかくの素材をつぶしてしまう。西武のスカウトからは去年「150キロは出るけど、コンスタントには出ない。変化球も含めて松坂とは違う」と報告を受けた。完成度は松坂ほどではないというわけだ。しかも寺原は夏の甲子園で足を痛めている。
高校生は通常8月から2月のキャンプインまで半年近く野球をしない。成長期に半年のブランクはもったいなくて仕方ない。その点、寺原は11月のワールドカップ(台湾)に参加。ブランクが少なくてすんだけど、台湾ではしっかり投げられる状態ではなかったと聞いている。
松坂を預かった3年前の自主トレ、大輔は足首の関節が少し硬いかなという程度で肩ひじを含めて体には全く問題がなかった。それでもキャンプではどれだけ気を遣ったことか。大騒ぎするマスコミにあおられて自分を見失ってはいけない。こちらは抑えるのに必死。松坂はそんな中、2月10日あたりで「1軍に置いておけるかな」、20日ごろには「先発でいけるかな」とメドが立てられるほど想像以上のものを出してくれた。それもこれもプロのキャンプに耐えられる体力があったからだ。
寺原の場合は実際にみていないので現時点では何とも言えないけど、まず自主トレでどれだけ走れるか。その状態を見て首脳陣がどう判断するか。少なくとも3年前の松坂より適格な判断が必要だと思う。
(スポーツニッポン02年1月10日より)

