| アオダモ育林活動始まる−東京新聞2000年10月24日(火)抜粋 少年健全育成へ“ホームラン”期待 野球のバットに使うアオダモの木を計画的に育林し、野球少年らに手入れをしてもらうことで、少年らの健全育成にもつなげようと、「アオダモ資源育成の会」(大本修代表)が発足、先日(*1)、北海道苫小牧市の育林場で植樹祭を行った。国産のアオダモは「バットに最適」とされるが、適当なものの入手が難しくなってきているのが実情。健全育成を含め、活動の成果が期待されている。 環境保護の時代性とも合致 同会は、東京・赤坂にある先導的な技術の研究、開発に取り組むNPO(民間非営利団体)、日本技術者連盟に設置。大本代表は同連盟の会長も務める。育林は林野庁が所有する苫小牧市の国有林で行い、苗木の育成と管理は北海道大学と道などが担当、長年培った植林技術を生かす。 趣旨には日本野球機構、全日本大学野球連盟、日本高等学校野球連盟(高野連)、日本リトルシニア野球協会など野球の12団体も賛同しており、強い支援態勢ができた。今月上旬の植樹祭には、伴次雄林野庁長官や大本代表ら関係者が出席、苗木百本が植えられた。 アオダモはモクセイ科の温帯性広葉樹で、九州から北海道まで広く分布。だが、バット用材には木目が細かく、密度も濃い寒冷地タイプが最適といわれる。米国にも同じモクセイ科のホワイトアッシュというバット用材があるが、アオダモの方が軽くて折れにくいといい、米大リーグでも愛用者がいるほか、日本でも巨人軍の松井選手や大リーグ挑戦を表明したイチロー選手ら多数のプロ野球選手などが使っている。 木製バットの国内需要は年間約6万本。うち7割をアオダモでまかなっているが、これまでバット用材業者が林野庁の許可を得て切り出すだけで、計画的に育成してこなかった。バットを作るには70〜80年ものが良いといい、反動でこれらの入手が次第に難しくもなってきたため、育成に乗り出すことにした。 植林は財源を募金中心にまかない、今年500本、来年、再来年にはさらに200本ずつ植え、その後も順次植えていく計画。バットが取れる太さ(直径16センチ)になるまで長い年数がかかるが、その間、北海道など全国の野球少年を中心に、下草刈りなどの手入れ体験を継続的に行い、単に野球のためだけでなく、環境保護意識の啓発や人格形成にも役立てたい考えだ。 この事業にはいろいろと経緯がある。話は昨年夏、林野庁関係者と現地のバット用材業者が育林の相談を大本代表に持ち込んだのが発端だ。 75五歳の大本代表は知る人ぞ知るバットの権威。元芝浦工大学長で専門は電子材料工学だが、旧制中学時代には投手だった野球好き。専門の研究の傍ら、40年以上にわたり、日本の木製バット作りの研究にもかかわってきた。 また、1960年代には、米国メーカーより先にアルミ製金属バットを考案。さらにその後は、通産省の金属バットの安全基準づくりにもかかわるなど「日本の金属バットの開発者」ともいわれる。球界やメーカーにも顔が広い。 大本代表もアオダモの状況には関心があっただけに、話はすぐにまとまり、関係方面と調整の上、今年夏、技術者連盟の「地球環境貢献部門」の中に、社会貢献組織としての会を設置した。「米国は保林に非常に熱心だが、日本はなかなか」と も指摘する。 だが、育林は育林としても事業内容には当然、時代性も加味したい。大本代表は「私も教育者だから」と前置きして、「今はいろいろと少年問題がいわれる時代。さらにこれからはボランティア活動も大事になる」と説明、「少年たちに全国から参加してもらい、育林を通して、環境教育はもちろん、人格形成にも役立てたい」「ボランティアはいい教育にもなると思う」と続ける。いわば活動はアオダモの状況と少年問題をめぐる時代性が合体した産物だ。 シンボルバッジで募金 今後、協力団体に呼び掛けるなどして参加者を募っていく方針で、同代表は「バットが凶器になる時代に、その木に親しむことで人間形成につなげたい」とも話している。募金はシンボルバッジ(*2)を1個500円で販売。2個(*3)で苗木1本が植えられる。息の長い地道な試みと言えるこの取り組み。 連絡先は電03(5573)2725=同会事務局。 【註】*1) 10月7日(土) *2) 画像−[BAT FOREVER]のロゴ入り− *3) シンボルバッジは2個セットで販売 |